もし玄関ホールを右折させ、居間・食堂への入口を階段室の扉の向こうに追いやれば、階段への経路を室内と分離することもできるが、あえてそうしなかったのは、このいわば踏み込みの部分を室内に取り込むことによって部屋の広がりを獲得し、同時にそこを家族の日常的な動きをとらえる装置として室内に活気をもたらしたかったからで、その目論見はほぼ成功したと思う。階段室入口の対面には台所への入口があり、その扉は来客のある場合以外は開放されてドアーズトッパーで固定されている。
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だから妻が台所に居る時に子供や私が帰宅しても、その扉が開かれた出入り口から顔を出して会話ができるわけだ。つまりこの踏み込みは「玄関―食堂通り」と「台所−階段室通り」の交差点のようなもので、そこで家族が各方向から直進、右折、左折することによって、わが家のほとんどすべての動きが接触するのである。